お答えします#2~アメリカ黒人とジャズ1

ここしばらく、コンサートに携わって家を空けていたりしたもので、qoopapaからのコメントを読むのが遅くなりました。「アメリカの黒人はジャズを聴かなくなった」というlivedoor newsに掲載されたパブリック・ジャーナリストの記事を読まれたそうです。この記事にかかれていることはホントなのか、という質問だと思いますので、このスレッドでぼくなりの考え方を書きたいと思います。

結論を先に書くなら、ホントなのです。若いジャーナリストや、最近になって「本場」(まえに本場なんて言葉を使うのは、JAZZの本質を理解してない短絡的ファンだと書きました!)でJAZZを聴きたいと思ってアメリカに行った人が、ライブ・ハウスなどで黒人を見かけないので(見ても少数)、黒人はジャズを「聴かなくなった」と思ってしまうようです。大筋は間違いないのですがちょっと注釈するならば、「昔からコンサート・ホールやライブ・ハウスでJAZZを聴く黒人は少なかった」というのが真実でしょう。理由は、低所得者の多い黒人にとってコンサート・ホールやライブ・ハウスの入場料が決して安くはないので、裕福な白人や日本人のように、ちょくちょく行くことが出来ないからです。そしてもうひとつ理由を挙げるなら、黒人大衆の好むメジャーな音楽はR&Bであり、ブルースであり、ファンクであり、ちょっと真面目な人にはゴスペルで、そこにJAZZはありません。80年代になってそこにラップやいわゆるヒップホップ音楽が加わりました。日本の音楽愛好者のなかでJAZZがマイナーな音楽であるのと同じ理由で、JAZZは黒人大衆状況の中ではちょっと抽象的な音楽過ぎるのです。

日本では何故か昔からJAZZはアメリカの黒人が作った音楽だと思われて来ました。もちろん、黒人はJAZZという音楽の誕生と発展に中心的な役割を果たしてきましたから、黒人抜きにJAZZを語ることはできません。JAZZの巨人、などと言われる人の多くは黒人であるのも事実です。ラフに言ってしまうなら、JAZZはアフリカから奴隷としてアメリカ大陸に連れてこられたアフロ・アメリカンが身体的に持っていたリズムと、ヨーロッパ音楽の楽理がアメリカの都市生活のなかでスパークして誕生した音楽です。ですから、そこには白人も介在していたわけで、JAZZというアマルガムのような音楽にのめりこんでいった人もいました。
ここで、留意しておかなくてはならないのは、JAZZが黒人の民族音楽ではなくて、人種をこえたアメリカの都市音楽であるということでしょう。「黒人がJAZZを聴かなくなった」と考える人の心のどこかには、それが黒人民族音楽の現在形であるという思いがあるのではないでしょうか。
もう少しJAZZの歴史の中で果たしてきた黒人の役割を書こうと思うのですが、話が長くなるので、#2で続けることにします。

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この記事へのコメント

torigen
2006年09月16日 23:48
おぉ、池上さん的には慎重なポストに驚きながら?うんうんと相づちを打つ私は誰?みたいな…。
取りあえずって言ってしまえば、失礼な言葉に聞こえるかも知れないけれど、土着のものと大陸から来たものの融合がJazzでありBluesなのであろうと解釈しています。その土地にたまたま集約されたのがアフリカ民族音楽だったりして、奴隷制度や、色々物議を醸すものが実際あるってのは判っていながら、それでも“音楽”が育つ環境だったのでしょう。
日本には無いような…。

しかし、それを享受できる我々は、感謝すべきなのでしょうネ。アメリカの黒人はジャズを聴かなくなった…ハリウッドの映画でもそんな言及がたくさんあります。私的にはジャンルをどうこうって気はないですけれど、良いものはそれなりの“待遇”を受けてしかるべきといいう考え方?なので、少し薄ら寒いものを感じたりします。土から音を想像してくれた黒人の持つある意味特別な感覚を彼らが自ら捨てているのではないか!?などと思う私は変ですかネ?わはは。
chi-B
2006年09月17日 02:36
またとても興味深い内容です。私ごときがコメントするのもオコガマシイですが参加させて下さい。的外れかもしれませんが、私が感じる黒人による音楽の魅力は「新しいものをクリエイトする止めどない探求力」であります。定着してしまったものに留まらずに、次へ次へとinventする魅力です。他の人種よりも先に進んで音楽を引っ張って行ってるような。そして何をやろうとも、アフリカンのリズムは絶対にDNAの中にあるので、内に流れるものは何ら変らずDown to earthで。ただし闘い続け発明し続けた先駆者達への絶対的なリスペクトは忘れない。これも魅力です。masta.Gは「今までに無い新しいものは全部JAZZや」と云ってたことがあります。それってスタンダードのJAZZFANには?かも知れませんが。そんな考え方もあるかな、って思います。それとアメリカでもLIVEの料金は高すぎて手が出ません。また、観に行かなくても地元のスタジオで、友達の家のガレージで、素晴らしい演奏をする人が身近にいるのが黒人社会でもありますよね。また第二弾も楽しみにしてます!
IKEGAMI
2006年09月17日 08:16
早速のコメント、ありがとうございます。
アフロ・アメリカンの持つリズムのDNAには驚嘆させられます。特別な音楽じゃあなくとも、歩き方から日常動作まで「BLACK」なんですよね。
お二方のコメントの中に#2で書こうと思ってたことが沢山入ってました。Toriさんのいう“待遇”、masta.Gの「新しいものは全部JAZZや」、そしてchi-Bさんの「素晴らしい演奏をする人が身近にいるのが黒人社会」。なるべく早く#2を書きます。
chi-B
2006年09月17日 13:39
この一連のお話をmasta.Gと電話で話していました。「JAZZはずっと無くならんし、黒人はやってるし、聞いてる。道端で、店先ででも。僕らが見て来たとおりやよ。あんな人らがカタリナとかに出はるんや。」見て来たとおりとは、黒人さんが多く住む、スラムとかではない地域に遊びに行ったときに、アフリカ雑貨屋さんの店先で、ボンゴやらジャンベやら叩いてるおじさん達がいて、しばしそのリズムに聞きほれていた時のことです。(この人たちは全員が、前にブログで書いたJAZZピアニストの故ホラスの友達でした)私の友達、DaTreeのボーイフレンドもオークランドのラジオ局でJAZZの番組を作ってます。LIVEハウスも兼業で。またいつか、当の黒人さんの意見を聞けたら書きますね。
qoopapa
2006年09月17日 15:11
池上さん、スピーチの準備やらでお忙しいときにすみません。toriさん、chi-Bさん、さっそくお寄せいただいた皆さんのコメントで、何となく状況がつかめてきました。ありがとうございます。私自身はJAZZファンと言えるほどでは到底ないのですが、良く聞いてはいました。今やブルースからラップまで、ジャンルは拡大していますが、線を引くこと自体がナンセンスということですね。JAZZの醍醐味は何と言ってもアドリブだと思いますが、それはそれなりにゴスペルや他のものにも受け継がれているのでしょうか。今度記事で一番気になったのは、「若い世代の黒人」のこと。ニューオーリンズが水害を受けたとき、一番心配したのは、あの町の草の根のような町のJAZZ(実際はしりません)は大丈夫?ということ。演歌が今でも多くの中高年の日本人に絶大な人気がある。でも若い人はほとんど聞かなくなった。草の根でJAZZをやっている人たちも中高年なのかな?同じ状況なのかなって思ったわけです。しかひ、日本の若い人はJAZZは結構聞いていますよね。洒落た?ラーメン屋や昨日行った鰻やでもJAZZかかっていてびっくりしました。
2006年09月19日 16:42
今やジャズはBGMです。(笑)それを批判するつもりはなくて、逆に、ジャズ喫茶のオヤジに代表される馬鹿げたエリート意識が足下から崩れていく楽しさを言いたい。(笑)

うちの近くの回転寿司屋でも、焼き肉屋でも、ラーメン屋でも、何故かBGMはジャズ。(笑)50年代のマイルスを聴きながら百円寿司をつまむのもまたオツです。(笑)

失せろ!ジャズ喫茶に籠もるしか能のない「辛口」ヒョーロンカよ!(あれが<辛口>だと?笑わせるな!単なる自己愛やないか!)ジャズはジャズ喫茶で聴くもんやない。回転寿司とか山形のスイング・ガールズが継承するのだ、この国では。なななんと素晴らしい!

「ジャズなんて、たかがその日一日をいかに楽しくすごすかってことじゃない?」渋谷毅

渋谷さん、天才!

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