お答えします#1~LAを楽しむ 3

トキワさんやともりんから追加情報が入ったり、LAの案内書を引っ張り出してきて見たりしていると、なんだか自分が旅行する気分になるものだ。
そこで、第3回は具体的な旅のノウハウからちょっと脱線して、ぼくの海外旅行の思い出編にしたい。

初めてLAに行ったのは76年の夏。(このときが初めての海外旅行だった! LAで穐吉敏子さんの録音を覗き、NYでニューポートJAZZ FESTIVAL in NY、その後スイスのモントルーに行ってモントルー・フェスティバルと冷やし中華パーティー。さらにニースジャズ祭、アンティーブジャズ祭を回り、FM誌に「世界のジャズ・フェスティバル」というレポートを載せたのだった)

このときのぼくは英会話能力ゼロ!フランス語のほうがましであった。なにしろ、5ヶ国語旅行会話集が必要だったんだから。「I have nothing to declare」っていうのをみて、なんで税関にケーキが必要なんだろう???エクレアじゃあないっつうの!
レストランに入れば「I want to eat XXX」。まあ、通じるけど、恥ずかしい。頭の中の消しゴムで消去したい記憶のひとつである。

(当時のぼくはクソ生意気で、仮想敵として超えなきゃならない同業者は相倉久人、平岡正明の2人だけと広言し、アメリカのジャズを「本場ニューヨークでは・・・」と書いたり、レコードだけでジャズを論じたりする人を心底馬鹿にしていた。「スイング・ジャーナル」誌の海外偏重記事に対しても、なんだこいつら、ジャーナリズムの風上にも置けない最低の集団め、と苦々しい気持ちでいっぱいであった。折りしも、「JAZZ LAND」という「SJ」誌に対抗する雑誌が創刊になり、そこに原稿をかき始めた時期であったのだ。)

LAには、「FMレコパル」誌に写真を送ってくれている富塚晴夫くん(彼はやがて日本に戻り、現在は山中湖に居を構え、富士山撮影の第一人者として活躍している)というカメラマンが住んでいて、1週間の滞在中に行動を共にすることになっていた。空港に着いたぼくは、とにもかくにもJTBがダウンタウン(!)にとってくれたホテルに入り、彼と取材の打ち合わせをしなくてはならない。そこで、ダウンタウン行きのバス乗り場を探し、ホテル近くのターミナルに。
さて、LAの印象はというと、なんだ汚ったねえとこだなあ、道路も紙屑だらけだし、怪しげな黒人とジョー・メデルを下品にしたような奴しか歩いてないじゃねえの! おまけにホテルだって、古くて暗くて、テレビもきれいに映らない。あーあ。
実はこのとき、富塚くんは空港までぼくを迎えに来てくれていたのだが、すれ違ってしまったのだ。彼は「MR IKEGAMI」と書いた紙を持ち、1時間以上待っていてくれたらしい。それがぼくに伝わってなかったものだから、こちらは緊張感ビンビンで、ホテルまで辿り着いた次第だ。だが、後に彼とこの日のことをよく話すことになったのだが、このすれ違いがぼくにとってラッキーだったのである。自分でできることは、海外であっても人の好意を当てにせず自分でする、という当たり前のことを身に付けられたからだ。
だからぼくは、知り合いがLAやNYに行くことになっても、ぼくが教えられる範囲のことはアドバイスするが、現地の友人に旅のケアを頼むことはほとんどしない。だって、向こうに住む人は、必死で自分の生活を作っているのだ。知り合いの知り合いを頼らなければできない観光なんてするな、というのが持論なのだ。(まあ、時によっては「連絡があったら、よろしく」という程度のことはする。紹介するのは、両者が出会うことによって、双方に何かが生まれる、と判断した時だけだ) だから、Andyさんゴメン、自分で苦労してLAのよいだところ、酷いところを見てきて!(もちろん、エマージェンシーの時は支援するからね)

NYに何回か一緒に仕事をしたカメラマンがいる。いい奴だ。彼は、観光シーズンになると憂鬱な表情となる。というのは、NYについて多くの著作のある有名な作家が、その知り合い(ホントに大切な人ならともかく)が観光に行く時、「NYで何か困ったことがあったら○○くんをたずねなさい」と電話番号を書いて渡してしまうのである。その結果、彼のところには「お金を盗られたから貸して」とか「帰りの飛行機に乗れなかったけど、どうしたらいいの?」というような見ず知らずの人が押しかける。XXさんの紹介といわれれば冷たくもできず、憂鬱な顔となってしまうのだ。おそらくこの有名作家、日本人として海外に住んだことがないのだろう。

ぼくは誠実さの塊のような富塚くんと行動をともにして、LAの表裏をたっぷり見せてもらうことができた。危険なダウンタウン、裕福な白人の社会、1週間もいたら社会復帰できなくなりそうなビーチ・ライフ、黒人教会の意味、山をひとつ越えるだけで砂漠となる環境。彼と知り合わなかったら、ぼくのLA認識は倍の時間を必要としただろう。

いま、ぼくがLAに初めて行く人に薦めるのは、行く前に司馬遼太郎さんの「アメリカ素描」を読むこと。ここにはアメリカの意味、そのなかでのカリフォルニアやLAの存在理由が明確に指摘されている。俗っぽいガイド・ブックの100倍ためになる本である。

というところで、きょうは役に立たない「旅の姿勢」ガイドでゴメン!

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この記事へのコメント

torigen
2006年05月26日 18:11
いやぁ、役に立つと思いますよ!
ね、Andyさん。

上辺だけ掠るだけじゃ、本質はわからないって事ですナ。
Andy
2006年05月27日 00:25
いや~、役に立ちます。それに映画のシーンを見ているような感じでした。
音と影像を勝手に想像してしまいました。
LA行きまでには時間はありますので色々なお話も聞かせてください。
自分で苦労して・・って、もう今までも親切に教えていただいていますし、これからも色々教えて頂ければ、トラブルが発生しても対応できるはずです。ありがとうございます。
づづく
Andy
2006年05月27日 00:27
つづき
モントルー・フェスティバルと冷やし中華パーティーのお話はTorigenさんの所で「Steveのサイトの写真にモントルーの写真があった」とおっしゃっていた時に出た話ですよね?山下洋輔さんたちとのホテルの中庭での冷やし中華パーティ。このお話もすごいですよね。材料とかどうしたのかしら?  これも笑顔の皆さんを想像できます。
あっ、いま山下さんの顔が浮かんだ♪
horirin
2006年05月27日 11:38
司馬遼太郎の『アメリカ素描』は素晴らしい旅行記ですね。司馬さんの驚くべき豊富な知識、見識の高さは凄い!です。 歴史を紐解き現代に繋げて考えると、町並みの移り変わりがスンナリと理解でき、興味深く読み進みました。
語り口は硬質なのに分かりやすく、過去と現在を旅する感覚。旅とは、そこに住まう人々の歴史的価値観に触れる事なのでしょう。
そして舞台は移民の集まりである広大なアメリカ! アメリカに行く人は勿論、行かない人にもお奨め! 読み返してみたくなる本です。

ハーイ♪ Andyさん。
IKEGAMI氏をはじめ、事情通の方々の丁寧なアドバイスをたくさん頂けて力強いですね。きっと楽しい旅になりそう。より素敵な女性になって帰ってこられると思いますよ、貴女なら。
Andy
2006年05月27日 14:15
horirinさんはじめまして。
皆さんのアドバイスのお陰で旅行がお買物だけで終わらずに色々なプランが浮かんで来て、旅行に行く前からとても楽しい日々を過ごしています。
当日は、ハプニング有りかもしれませんがそれも旅の楽しみでしょうからね。(但し、エマージャンシーの時は除く)
次ぎのIkegamiさんのお話は何かな?
torigen
2006年05月27日 14:29
良かったなぁ、Andyさん!

horirinさん、ども。
うちの?娘、ヨロシクです(汗)。

私といえば、ネタをふっただけだったりして…(爆)。
しかし、池上さんってば、笑っちゃうくらい私とハマってるような気がして…(恐)。

Andyのため、動いて下さった皆さま、Andyになりかわりまして御礼申し上げますデス。アリガトです!わはは。
IKEGAMI
2006年05月27日 20:28
horirinさん、コメントありがとう。

『アメリカ素描』をこれほど簡潔・的確に紹介する文を、ぼくは読んだことありません。もし、下書きなしで書かれたコメントだとしたら、来月から文筆業に就かれることをおすすめします。
horirin
2006年05月28日 10:55
ワーイ♪ プロの物書きさんに褒められちゃった。 どんなもんだい! torigenさん。
下書きなんてしてませんってば・・少ししか。
推敲に推敲を重ねて・・少しだけ。
念のため一晩寝かせるの。
来月も職業オバサンです。
torigen
2006年05月28日 19:24
がははっ!
私、思い付いたマんま書いてました(汗)。
すんまそん…。以降反省しながら推敲いたしますデスわはは。

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