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zoom RSS 「トチカ2010」楽屋ルポ

<<   作成日時 : 2010/09/07 15:51   >>

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音楽ファンにとっても、そしてステージに立ったミュージシャンたちにしても夢のような1時間であった。過去30年間にわたってジャズ/フュージョンの最前線で音楽を作り続けてきた伝説的なミュージシャンが集まって、この1時間だけ時間をともにする贅沢なプログラムなのだ。
アルバム『トチカ』のプロデューサーであり、当時のNYのスタジオ・キャッツのドンでもあったマイク・マイニエリにとっても、この日のリユニオン・コンサートは特別なものであったようだ。10年くらい前に、ぼくは個人的にマイクを日本に呼んだことがあり(この時、2回だけ香津美とDUOをやったのだった)、のんびりと話す機会があった。
「『トチカ』の録音とジャパン・ツアーは自分にとってエポック・メイキングなことだったんだ。最初にポップスのセンスを持ったバンド、ホワイト・エレファントを作ったのが60年代の末で、それから10年、アリスタ・レーベルのサポートでモントルーに出たりしてやっとぼくのアイデアが陽の目を見ようとしているときに、Kazumiから『トチカ』の話が舞い込んだんだよ。そうしたらレコードがビッグ・セールになって日本でツアーということになった。で、当時ぼくが最も注目していたマーカスを選んだんだ。オマーはマーカスの幼馴染で、スティーブ・ジョーダンが日本に行けないって分かった時にマーカスが推薦してくれた。演奏をきいたら素晴らしいので、すぐにOKを出したけど、日本からは“それ誰?”って言われて説明に困ったね」
日本での「トチカ・ツアー」は大成功。若いジャズ/フュージョン・ファンを熱狂させたのである。この一連の流れの中で生まれたのが「ステップス」なのだ。
「『トチカ』がなかったらステップスもなかったかもしれない。アメリカのレコード会社は冷たかったからね」
と語るマイクにとって、東京JAZZでのリユニオンは80年代初頭を鮮明に思い出させてくれる機会になったようだ。

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            (これは楽屋に置かれた主催者の色紙)

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   (NHK−FMが生中継していて、これは演奏後のインタビュー風景である)

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『トチカ』に対する特別な思いは渡辺香津美にとっても同じことだろう。銀座YamahaStudioでのプレイベントのときも、国際フォーラムのステージでも、マイクのことを「恩人」と紹介していたことで、マイクとの出会いの重さが伺えるのだ。このプロジェクト後、彼のTwitterは;

>本日は一日「燃え尽き症候群」中・・・明日には復帰してつぶやきます(予定)約17時間前 webから

となって、まだ復帰していないところから想像すると、香津美らしからぬプレッシャーのなかでのプレイだったのかも知れない。まあ、のんびりとお休みいただきたい。

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そんななかでひとり元気だったのがこの男。今では世界的に認知されたミスター・ベースマンで、トップ・プロデューサーとしても多忙な日々を送っているマーカスである。ぼくはマーカスのライブハウス・ツアーに行かなかったので、ホントにしばらくぶりの出会い。だが、人気者になろうが、有名になろうが、この男はまったく変わりがない。いきなり「ねえ、F1見てる? オレ、最近は見てないんだよ。セナがいなくなったら、なんだかドラマを感じさせてくれないんだよね。またわくわくさせてくれるようなレーサーが出てきたら、スケール・モデル作ってよ!」
(実は、ぼくはF1モデル作りが趣味のひとつで、当時作ったセナの乗った1/12のマクラーレン・ホンダと1/8のフェラーリはいまだにLAのマーカスの家に飾ってあるそうだ。もちろん、カウルをとればエンジン部やコンピューター配線のディテール・アップが施されている)
驚くことに、超多忙で旅烏のくせして、マーカスはTwitter、Facebook,Webと更新をかかさない。コンサートの様子はすぐにFacebookのアルバムにアップされるし、Webではファンの質問にきちんと答えたりしているのだ。よく時間がさけるねえ、と言ったら
「ふふふ。好きなんだよ、ああいうことが。気分転換に最適だよ」
という答えが返ってきた。

http://twitter.com/MarcusMiller959
http://www.facebook.com/photo.php?pid=6880358&id=125708060189#!/MarcusMillerOfficialFanPage
http://www.marcusmiller.com

どれを見ても写真がいっぱいあるし、Webなどは半日見ても飽きない。ぜひ覗いていただきたい。

マーカスについてはもっと書きたいこともあるのだが、コンサートの興奮が醒めないうちに楽屋の様子を紹介したいので、あと2枚写真を載せて今日のところは更新クリックとしよう!
上はインタビュー風景を撮影する吉田美奈子カメラマン! じつはこの人、トチカ・ツアーにもステップスの結成にも力を貸しているという、知られざる動きがあったのだ。
美奈子さんは今月の19日に九州は小倉で渡辺香津美とDUOコンサートがある。
そして下はクラシック・ギタリストの村治佳織さんとギタリスト秘密会議。なにやら14日生まれに関わる企画が人知れず進行しているらしいから、こちらの今後にも注目である。

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といわけで、今日は楽屋ルポ。いつになったら演奏内容について書けるのか、それはぼくにも分からないことなのだ。
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コメント(17件)

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く〜っ、今回行けなかったことが悔やまれる〜。

TOCHIKAツアー、見たかったな〜。
当時のワシは田舎の高校生でとてもとても。
翌年、それなりのホールもある地方都市の大学生になって、頭狂奸児唐眼ツアーを見に行ったんですが。

あと1年早く生まれてればなぁ〜。
半斤八両
2010/09/07 21:38
半斤さん、どうもです。
だれでももうちょっと早く、ってあるんですよ。ぼくだってあと10年早かったら、エリントンと知り合えたかもしれないんだすからね。

半斤さんには自分の時間割のなかで、クルセイダーズと出会った。誰とも出会えない人が多いんですから、後悔することなんかありません。あ、TOCHIKAツアーの時に、マイクとマーカスを引っ張り出した草野球、レコパルに写真を載せた記憶があるんだけど、そちらのコレクションにありますか?
IKEGAMI
2010/09/07 22:57
私も月初でなければ休みを取って行けたのに〜悔しい。
大好きなマーカスの演奏も聴きたかった〜。

渡辺香津美さんのコンサートには京大生だった彼が好きで連れて行かれたのを覚えています。
京都勤労会館だったかなあ?京都会館だったかなあ?
随分昔の事で覚えてないけど・・・。
曲と曲の間にお喋りしながらだったかしら、ポパイの曲かなにかの旋律を奏でられたのでコンサート終了後その事を話したら「そう?」ってちょっと疑いの眼で見られた記憶があります。でも間違いないもん!と心の中で呟いたのでした。
(ん?でも待てよ、あんまり昔の事で高中正義さんのコンサートと間違えてる??)

そういえば大阪フェスティバルホールのクルセイダーズコンサートにもその彼と行きましたよ〜。私にとってクルセイダーズと渡辺香津美さんはセットで青春の思い出なのです!

今回のリユニオンで池上さんとこのようなお話が出来るなんて嬉しいです。
Andy
2010/09/08 00:17
Andyさん、京大生とつきあってたんだあ。(まだ継続中だったりして)
高中で思い出したけど、彼がよく使ったソロ終わりのフレーズは「タカナカ、タカナカ、キャラメルコ〜ン」っていうやつで、それが出るとぼくらはステージ横で大笑いして、ハイファイブしてました。

今回のコンサート、ミュージシャンも聴き手もそれぞれの思いをのせて演奏と向かい合ってた気がします。
それにしてもマーカスは30年、まったく性格が変わらないいいやつでした。
IKEGAMI
2010/09/08 00:34
マイクや香津美さん、そして池上さんにとってTOCHIKAが特別だったように、僕らフュージョンファンにとっても特別な出来事でした。あの頃、僕は学生のバンドマン。1976年のモントルー「スタッフ」からクロスオーバーにのめり込み様々なアーティストを知った。香津美さんは、そんな僕ら日本人にとってのヒーローでした。間違いなく、日本人名義のフュージョンアルバムの頂点だと今でも思っています。そして続くSTEPSはフュージョンミュージックのひとつのターニングポイントだとも思います。
会場にはいけませんでしたが、ラジオの中継を聴いていました。お馴染みのリフが耳に飛び込んでくる度に涙がとまらなくなってしまいました。ステージの様子がラジオの向こうにはっきりと見えました。「再結成もの」にこれだけ感動したことはありません。まに夢のような時間でした。
今度はSTEPS、マイケルもドンもいませんが、是非観たいです。池上さん、マイニエリさんを口説いてください。

Jazz Juice
2010/09/08 01:35
Jazz Juiceさん、初めまして。
76年モントルーからの10年間は、ぼくにとっても一気に駆け抜けた素晴らしいディケイドでした。みんなで「何かが変わる」という充実感を共有したからこそ、30年後に集まっても単にノスタルジーで終わることのない演奏ができるのでしょう。
STEPS、けっして不可能ではないと思いますよ。マーカスにウッドベースを弾かせるとかね。あいつはウィントン・ケリーの甥っ子ですから。クリエイティブな仕掛けを考えてマイニエリをのせてみるのも面白そうですね。
また遊びに来てください。
IKEGAMI
2010/09/08 02:29
僕も「TOCHIKA2010」はクルセイダーズのリユニオンと同じくらいみたかったです!
僕にとっては「TOCHIKA」は、もちろん香津美さんも素晴らしいけど、やっぱりマーカスの格好良さにつきた。
この頃のマーカスの演奏がとにかく好きで、日本に来るたびに見にいっていました。
特にこの「TOCHIKA」バンドは格別にかっこよくて、大阪でTOCHIKAバンドを見て、翌日名古屋でまた見て、その翌日東京で渡辺貞夫さんの武道館ライブを見て、渡辺3デイズを決行した思い出があります。
写真を見ると、香津美さんもマーカスも立ち姿が当時とまったく変わらないですね。
Gパパ
2010/09/08 15:57
Gパパさん、しばらくです。
20歳のマーカスって、ホントにカッコ良かったですよね。「トチカ」ツアーのあと、あっという間に大スターになっちゃった。
渡辺3デイズ、ぼくも全部いましたよ!毎日が刺激の連続。いい時代でした。あ、時代って言っちゃあいけないか。
IKEGAMI
2010/09/08 16:57
IKEGAMIさんの読みは中らずといえども遠からずです。
あの渡辺香津美さんのコンサートの日に車でお迎えに来てくれた彼のお友達の京大生とは今でも仲良くしてもらっています。残念ながらお嫁さんにはして貰えませんでしたが(爆笑)。

マーカスが来福された際は何度もライブハウスへ向かいました。
とにかくカッコイイ! だけど嫌みじゃないのです。
それにとても優しい。つたない英語でお話しても、つまらないメッセージをサイトに残してもちゃんと丁寧お相手して下さいます。
いつもステージの中心なのに控えめ。そして常に楽しく生きている感じ。
IKEGAMIさん、何がそうさせているのでしょうか?天才と言うだけではなく人としても素晴らしい。
お手本にして生きて行きたいです。
そんなマーカスや素晴らしいミュージシャン達とお友達のIKEGAMIさん! 羨ましい〜!!
Andy
2010/09/08 22:38
Andyさん、残念でしたねえ(笑)。
京大生、あるいは京都で学生生活を過ごした人って、リベラルな人が多いようです。(asianさんもそんな代表!)伝統を大切にするのに新しい物がすき。最初は意地悪なのに、打ち解けると逆に振れる。フランス人みたいですな。
むかし、マイルスのグループに抜擢されたマーカスと会った時に「何か変わった?」って聞いたら、「うん、友達だっていうやつが増えた」だって。そういうことを嫌味なくサラリといって笑える男なんです。

ぼくは「友達」と言えるミュージシャン、そんなに多くないですよ。知り合い以上、友達未満のひとは多いけど。
ぼくが彼らにあげることのできるものは、ミュージシャンとは違う発想、考え方です。それを力まずに、反応も期待せずに、淡々と伝えられたらいいんですが、相手によってはナーバスになったりもします。まだまだ、人としての修行が足りません。
IKEGAMI
2010/09/09 01:01
> TOCHIKAツアーの時に、マイクとマーカスを引っ張り出した草野球、レコパルに写真を載せた記憶があるんだけど、そちらのコレクションにありますか?

う〜ん、残念ながら。
これはオクで張らねばですね。
半斤八両
2010/09/10 01:43
どうもです。
そのうち小学館の資料室にいって探してみようかな。

写真があれば、あの二人をからかう材料がふえる。マーカスは会うたびに道後温泉一物拝み事件の話をしろってうるさいくらい。
若いころの狼藉って話すの楽しいですからね。なにしろ当時、ハタチのベーシストだもん。
IKEGAMI
2010/09/10 02:30
IKEGAMIさん、こんばんは、あいや、おはようかもです。
お休みの所、お邪魔いたします。

TO CHI KA 2010、お疲れ様でした。
こちらのリポートからも、熱気が伝わってきました。
残念ながら、遠隔地住まいの為30年ぶりの東京へは伺えませんでした(涙)
しかぁ〜し、19日には、住居地小倉で【香津美】を楽しませていただきます。煽ったかいが有って、ジャズクラブ52のマスターが重い腰を上げてくれました(笑)なんせ、自分の娘に【香津美】と付けた人ですからね。
これからも素敵なリポートをお届けください。

追伸。(本題かも、です。)
9/11近辺に、新しいエントリーをポストする予定なのですが、急遽思い立ち・・・。
そのう、【jazzage109 】の9/10-20:20のつぶやきであるところの、<素晴らしいミュージシャンは誰でも、自分の中に狂おしいほどの熱い気持ちと、それを客観視できる覚醒を同時に持っています。・・・>の一文を、掲載?転載させて頂きたくお願に上がりました。もしご許可が頂ければ、幸いです。
ただ、お断りいただいても、藁人形に釘を打ったりは致しませんので、その儀はどうぞきっぱりと、です。
以上、夜討致しました。
良い夢をお楽しみください。では。
ew1
2010/09/10 04:30
なんと4時半!
Twitterにもコメントしましたが、どうぞご自由に! そちらの過去ログ、楽しませていただいてます。
ぼくは自分が過ごしてきたことに興味がないので、書いた物も本来なら記念になるものをなーんにも撮ってないんです。雑誌なんて1週間とか1か月経てばなくなるから面白いと思ってましたもので。ところが最近、HPやBLOGで「ああ、あれがあればもっと笑ってもらえるのに」というようなことがあるのです。マーカスの草野球もそのひとつ。NYヤンキースのキャップを被って現われた時は、みんな「おー!」って歓声をあげたのに、???でしたからね。
52nd Streetのマスターに、「そんな名前つけちゃって、くれくれも大酒呑みのバンドマン(死語!)にだけはならないように祈ってます」とお伝えください。
IKEGAMI
2010/09/10 12:09
IKEGAMIさん,、こんにちは。
朝早くからの訪問、乞お許しでした。
ぶしつけなお願いへの御快諾、感謝です。

>ぼくは自分が過ごしてきたことに興味がないので
全く同感で今まで過ごしておりました。
ただ、人生の節目、生まれ変わりの歳が来年に迫り・・・。
私の父方の男は、皆(と言っても3人なのですが)その歳を迎える事無く去り、それも後一年、丁度私が今月迎える年齢の歳で有りました。
それもあっても、排泄物の発信もどきを過ごしているのが現状かもです。
この先を、以前のように前に在るものを求め探し続けられるように、頑張る所存、どうぞ宜しくお願い致します。
本当に、有難うございました。

52【香津美】嬢と、本家【香津美】兄、ほんのひと月ほど前に、我々も乱入してのツイッター上で、見事出会われました(笑)その顛末もあっての小倉公演決定でした。
いやぁ、凄いですね。ネットの世界は、区別なく良きものを運びます。参加者、取扱者に悪意が無く、そして各々が良き自覚を持ち続けられるならばですが、捨てたもんじゃぁないです。
かく言う私も、ここでIKEGAMI兄や、他でも良き友と語れるのですから。
少し長くなりました。
ニュー・エントリーは明日ポスト予定です。
以上、お礼といたします。
ew1
2010/09/10 14:11
IKEGAMIさん、今やっとTokyo Jazz のトチカを聴くことが出来ています。(半斤八両さんのお陰です)

IKEGAMIさんのポストを読み返してみて雰囲気を味わっています。
懐かしい感じなんだけれども新しい! やっぱりマーカス最高!
渡辺香津美さんは私が聴きに行ったコンサートの時の印象と違うんです。聴く方が大人になったからかなあ(笑い)。良かった〜。
昔は背伸びはしたものの付いていけてなかったかも〜。
Andy
2010/09/23 19:53
ぼくはまだ聴いてません!(半斤さん、アリガト&ゴメン)
会場で聴いていて一番嬉しかったのが、みんなが今という瞬間の音を出していたことです。じつはこれ、功なり名を遂げた音楽家やJAZZファンにとって最も大切で難しいことです。4ビートでスタンダードを演奏してればJAZZだと思ってるJAZZファンって、案外多いんです。
即興というものの意味を考えりゃすぐに分かることなんですけどねえ。ぼくは「昔の名前と栄光で〜」というような演奏には何の興味もありません。昔のヒット曲でも今の感覚で演奏してもらいたいものですねえ。
IKEGAMI
2010/09/24 16:55

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