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zoom RSS ジジイはみんな元気だ!

<<   作成日時 : 2009/07/20 21:21   >>

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待望の「山下洋輔トリオ復活祭」が、7月19日の午後5時から日比谷公園野外音楽堂で行われた。地下鉄・日比谷駅14番出口から公園に入ったのは開演30分前。中央大噴水から歩いて行くと、同じ目的地とおぼしきグループが三々五々、楽しそうに談笑しながら野音方向に向かっている。ここで行われる通常のコンサートに比べると、圧倒的に若者が少ない。以前、東京ドームのローリング・ストーンズ・コンサートに行った時、ビジネス・スーツを着た会社帰りのビジネスマン(それもヒラではなく係長以上!)の多さにびっくりし、やがて彼らが椅子に立ち上がって拳を振り上げているのを見て笑ったものだが、この日の聴衆はそんなもんじゃあ収まらない。もうとっくに定年退職したようなグループが多いのである。
無理もない。「復活祭」は山下トリオ結成40周年記念のスペシャル・イベントで、ということは学生時代〜20代前半にこのフリージャズ・グループの刺激的な演奏に夢中になっていた聴衆は、もうとっくに還暦を迎えているのだ。歴代山下トリオのメンバーによる演奏も楽しみだが、このジジイ、ババアになった聴衆が演奏にどんな反応をするのかという、もうひとつの楽しみを味わうことができるのが嬉しい!
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ジジババ・オーディエンスを横目で見ながら、楽屋に。メンバーはもうサウンド・チェックを済ませ、30年前、40年前となにも変わらないスタイルの冗談でゲラゲラ笑っている。山下洋輔・中村誠一・森山威男というオリジナル・トリオ・メンバーが奥のテーブルを占領しギャハハとやっているのだが、そのネタの8割を提供するのがテナー吹きというところも変わらない。それを隣のテーブルでにやにやしながら聞いていた林栄一が、物静かな国仲勝男と周りのスタッフに「オレのほうがあのメンバーより早くやったんだぜ。高校生の時に山下さんに飛び入りでやっていいかって聞いたら、いいっていうんでやったんだけど、そのころなんて何もできないじゃあない。思いっきり馬鹿にされたんだけどさ、オレのほうが早いのは確かだろ!」と主張している。察するにもうかなり出来上がっているようだ。さらに、それを最年少で故・武田和命の代役を務める菊地成孔がニヤニヤしながら聞いている、といったところが楽屋の図である。
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そうこうしているうちに開演時間となり、司会の相倉久人大先輩(おん年、70代後半のダントツのチャンジイだ!)がステージに向かった。頭2曲の演奏者が舞台袖で、曲の打ち合わせを始めた。どうして、こんなところで!さっきまで時間は十分にあったのにい、と疑問を持つ人もいるだろうが、これはあくまでテーマにはいるきっかけの確認に過ぎないのだ。
演奏が始まった。いきなり林栄一がギャーと吼える。それを聴いていた坂田明が「あれ、林、いきなり宣戦布告かよ。ま、最初に受けちゃえば勝ちだもんな」と笑っている。なんともいい雰囲気のコンサートになった。
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何曲かが終ったところで、ぼくは客席後方、PAブースの横に移動した。ジジババ・オーディエンスの反応を客席の中で確かめたかったからだ。ステージ上には第3期トリオ、坂田明、小山彰太という組み合わせになっている。このメンバーによる演奏が「復活祭」を記念して作られた76年モントルー・ジャズ祭のライブDVDに収められているのである。DVDの収録曲は「クレイ」と「ミナのセカンド・テーマ」であるが、このステージで演奏されるのは「バンスリカーナ」と「ゴースト」。『モントルー・アフターグロウ』というライブ・アルバムと同曲ある。モントルーのステージで坂田明は突然マイクを握り、ハナモゲラ・ボーカルでヨーロパの聴衆を唖然とさせたのだが、ここでその再現はあるのだろうか。
「バンスリカーナ」のテーマにはいったとたん、会場のあちこちからワーっという歓声と拍手が沸き起こった。30年前に演奏されていたこの曲を知っているのだ!さすが、ジジババである。いよいよ次は「ゴースト」。もう聴衆は何が起こるか分かっているようだ。テーマが始まるとみんな笑っているのがその証明である。まず最初の歓声は「赤トンボ」のフレーズがソロ途中で吹き鳴らされたとき。そして、あれ、終っちゃうのと思わせながらマイクをつかんだとたん「行けえ、サカタ!」の声援が飛ぶ。期待に応えて、アルト吹きは「コネコ、ネコノコ、オコゼノコ」を絶叫。客席とステージが一体となった瞬間が再現されたのだった。
15分のインターミッションの後は、相倉〜菊地のトークから。演奏が良くなるか悪くなるかの責任の半分は、客席側にあるというラディカルなトークの途中、客席がざわつきだした。多くの聴衆が後方の空を指差している。見ると、くっきりと虹が架かっているではないか。しかも二重!ダブルレインボーという珍しい現象だ。ジジイたちの元気な演奏を空も祝福してくれた、というのはミュージシャンの一致した見解である。
「ミナのセカンド・テーマ」、そしてアンコールの「グガン」がダパトトンと演奏され、ご丁寧にバズーカ砲がドカンと炸裂して、元気なジジイたちのマジカル・ミュージカル・モーメントが終了した。
日比谷・野音のステージと客席に集った平均年齢の高い集団からは「次はyyt50なんて言わないで、45くらいでまた夢を見させてもらいたいな」というリクエストが圧倒的に多かったことをリポートしておきたい。
楽屋にもどった坂田明に「やったね」と声をかけると、こんなサインが返ってきたのだった。ああ、楽しかった!
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打ち上げは「ふらて」と「ピットイン」の2か所で行われた。当然、朝まで飲み続ける。こういう元気なジジイがいる限り、日本のジャズは健在である。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
・・ったく、とんでもないジジイばっかりですけど、みなさん、病気を越えて、ますます元気ですねぇ。(笑)

故、平岡正明さんの「ジャズより他に神はなし」という言葉を思い出します。

渋谷毅さんが「近年の坂田明はすごくいいね」とかなんとか言ってました。数年前に黒田京子がピアノの編成を見たことがありますが、ほんまにパワフルでした。
asianimprov
2009/07/23 07:50
asianさん、こっちを先に読んでコメント入れてくれましたね。わはは。

坂田さんは、このところホントに素晴らしく鳴ってます!ダメなサイクルの時は「サックスを吹く粗大ごみ」みたいですが、その波・山谷の大きさがぼくは大好きなんです。
最新PostのW大バリケードの中のトリオ、サックスは誠一さんですがみんな若くて、生意気そうで、結成時の山下トリオの「全員攻撃・全員守備なし」が楽しめますよ。
IKEGAMI
2009/07/23 10:28

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