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zoom RSS 持続する想像力〜Toriさんへ(コピー版)

<<   作成日時 : 2009/06/19 08:40   >>

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「Tori's Triangle」を主宰されたTorigenさんが亡くなられ、追悼PostをUPしたところたくさんの方にお読みいただいた。お礼を申し上げたい。
昨日、知人から、
「ブログの構成上、新しいPostが入ると古いものが下に送られて過去の時間に埋没してしまいます。あのPostは常連の人だけでなく、ブログでコミュニケーションを広げたいと思っている“一見”の人にも読んでもらいたいので、しばらくは上から2,3番目くらいまでに位置させるようにしたらどうでしょうか。
匿名の無責任なコメントが、素晴らしい内容の記事・情報と並列になってしまうのはITコミュニケーションの宿命でしょうが、それを克服するのは“よいもの”や“こういうやり取りができるんだ”という例を数多く流通させる以外にないと思うんです。IKEGAMIさんが紹介くださったasianさんのコメントは本当に素晴らしものでした。こういう暖かく、血の通った交流がブログから生まれるものなんだということを、ぜひもっと多くの不特定の人に伝えてください」
というメールをいただいた。
そこで、6月いっぱいくらいはその助言に従ってみようかと思った次第だ。(誰だ、更新が遅いから、あまり下には行かない、なんて言ってるのは。笑)        
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ブログ仲間の鳥元明之さんが亡くなった。声帯から食道にかけて癌が出来ていることをブログで知らされたのは半年ほど前のことだった。大手術されてから半年、癌は頭部、腰部、肺に転移し、あっというまにTorigenさんの生命を奪ってしまった。夏には会おう,テニスもやろう、秋にはリー・オスカーとプライベートな音楽パーティーをやろう、その時にはブログ仲間や友人と顔を合わせる空間を作ろう、という約束も果たせぬ進行の速さであった。
12月に、12時間に及ぶ手術を終えたToriさんは驚くべき回復力を見せ、数日後には歩き、あっという間に退院したのである。癌の部位が「ヤバイ」場所だと知っていたペシミストの僕が、これはひょっとしたら生還するかもしれないと思ったほどの回復力であった。その後の抗癌剤治療の一部始終はToriさんの素晴らしい内容のブログ「Tori's Triangle」(=このブログの内容の濃さが、会ったこともない京都人とのコミュニケーションを深くしてくれたのだ)に詳しい。
ぼくは8年前に同じ病で兄を失っている。だから、転移を知った時に彼を励ます言葉を失った。Toriさんも自分の深刻な症状を理解していた。病のディテールについての話題を避け、想像力こそ個人の時間を豊かにする唯一の方法だという、まるで学生時代のような「青臭い」抽象論が互いの逃げ道となった。この「想像力」というテーマは、ぼくがToriさんのブログにコメントを寄せるようになって以来の、ぼくらを結ぶバイパスのようなものだったのだ。

Tori's Triangleにコメントするようになったきっかけは「クルセイダーズが好きで…」というブログで、ぼくが30年ほど前に書いた原稿がそこに載ったことだった。Toriさんはこのブログの常連で、コメント内容が気になったので覗いてみて驚いた。音楽・文学・映画・趣味・・・どのPostも面白いのだ。特に書物の紹介は、驚くべき読書量から選ばれたもので、随分と本選びの参考にさせていただいた。ありがとう!
こうして、ぼくらはITの恩恵を受けてコミュニケーションをスタートさせたわけだが、同時にインターネットによる自由なコミュニケーションの進化を危惧しているという共通の感覚を持っていたのである。ブログのような小規模な情報の共有はさておき、何千、何万という人が同じ情報を持つことの危うさ、そしてその情報が恣意的なものであった時の気味悪さを互いに感じながらコメントをやりとりしてきたのだった。
だからToriさんの好む音楽や映画は、体制という色の付いた集団から個を切り離していく表現のスタイルをもったものが多かったように思える。反権力・反体制という基本的な姿勢が、ぼくらの想像力の共有をより強固なものにしてくれたのだが、彼は自分の姿勢のなかに「反自己」ともいうべき柔らかなクッションを持っていて、異なる考え方をする人までも受け入れようとする優しさに満ちていた。
「Tori's Triangle」に集う仲間はそんなToriさんの強さ、優しさに触れていたかったのだと思う。
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Toriさんの逝去後、「Tori's Triangle」にブログ仲間から追悼コメントが寄せられた。「asianimprovアジア系アメリカ雑記帖」のブログ主で奈良在住のKさんからのものだ。この痛切で悲しい追悼文は、豊かな想像力は個を超えて他人の心を動かすものだという勇気を届けてくれる素晴らしいものなので、ここに紹介させていただきたい。

実は僕は鳥元さんのことをよく知らない。もし知っているとしても
それはトリさんの何百万分の一の断片であって、とても「知っている」 とは言えない。そもそもこのブログにコメントしたきっかけも覚えていないのだからナサケナイのだが、torigenさんと初めて会った日は覚えている。2007年12月23日。場所は岡崎公園近くのビルにあるステファニー・マンハッタン。渋谷毅さんのソロだった。初対面にもかかわらず、昔からの知り合いみたいに話したような記憶がある。初対面なのに、トリさんは僕の屁理屈だらけのブログを誉めてくれた。これには驚いた。「あんな文章は書けない」とか言ってくれたので、「いや、あんな風にしか書けないので・・」と僕は照れたが、ブログを誉められることなど滅多にないので、なんか、こそばゆい気持ちになった。要するに、嬉しかったのだ。

この後、トリさんとは何回か会った。それは神戸のビッグアップルであったり、うちの隣の教会であったり、精華町のナーダムであったりしたのだが、互いに相手の素性を尋ねるでもなく、ただ、音楽を聴いていた。だから僕はトリさんが就いてきた職業も特技もなにも知らない。しかし、もの凄く仕事ができて、同時に、仲間たちと楽しく遊んできた人だということはわかった。中途半端で自分勝手な僕とは違う。トリさんのいままでのことをじっくり聞きたかった。これから聞きだそうと手ぐすね引いて待っていたところに、病気のニュースがブログに載った。

トリさんと僕の年齢は近い。また、僕は学生時代、京都市内に○年もいたので(苦笑)トリさんとは昔話ができた。そういえば、トリさんと会ったステファニー・マンハッタンがある所のすぐ近くでトリさんは生まれたそうだ。ステファニー・マンハッタンで会ったとき、そのことを感慨深げに話していたトリさんが印象に残っている。

このブログは凄い。僕はトリズ・トライアングルでトリさんだけに会ったのではない。トリさんのおかげでchi-B&mastaGとも出会えた。池上さんが僕のブログにコメントを残してくれるようになったのもトリさんのおかげだ。また、このブログには単なるクルセイダーズのファンという枠を越えた音楽好きの面々が集まっていて、ダニー・ガットンのテレキャ
スターから僕のグレコの中古ギターまで、こんなディープな、夢のあるブログはないと思った。

トリさんがいなかったら渋谷毅+竹田一彦や渋谷毅+溝口恵美子というセッションはなかっただろう。この春に僕は竹田一彦さんのギターを聴くために上本町のSUBに出かけた。竹田さんは噂にたがわぬギター職人であった。竹田さんからCDを買った。「京都トリゲンさんの紹介で来ました」と竹田さんに告げると、心配そうな顔で「体調はどうなのかな。よろしく言っておいて・・」と言われた。トリさんがいなかったら竹田さんのことも知らなかっただろう。

僕はトリさんのことを知らない。情報としては、知らない。しかし人間はデータの集積物ではない。情報が多いからその人間がわかるとは限らない。トリさんがこのブログに書き残した、魅力にあふれた書き込みやコメントへの返答にトリさんの生き方が反映されている。そう思う。

くどいようだが、僕はtorigenさんのことを知らない。なのに、なんでこんなに悲しいのか・・。それを言葉にしようと試みたつもりだったのだが、こんな書き込みになってしまった。なんでこんなに悲しいのか。トリさん、勝手に逝かずに、教えてくれよ。
             
Posted by asianimprov at 2009年06月07日 20:57



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2匹の愛猫を抱いた男の画像は、サックス吹きのジョシュア・レッドマンではなく、鳥元明之さんの近影である。ブログの中でToriさんは、自分の顔かたちを自虐的に書いているが、このように「いい男」であったのだ。
この顔かたちに会ったピアニストの渋谷毅さんは、むさくるしい中年男が来ると思っていたのにかっこいい男が現れた、と言っていた。Toriさんを渋谷ワールドに誘ったのはasianさんとぼくである。ストレートに音楽に入り込むタイプのToriさんが、ちょっとややこしい渋谷さんの音楽をどう受け止めるのか興味があったのだ。むさくるしい中年男は、渋谷さんの単純系にして複雑な音楽を心から楽しみ、asianさん主催の教会でのソロ・コンサートを聴きに奈良まで遠征したほどの惚れ込みぶり。嬉しいかぎりであった。

ぼくは紹介者の一人として、Toriさんの病状を渋谷さんに伝えていた。逝去されたことを伝えたらこんな返信があった。

件名: 早すぎる!
なにか呆然状態で声が出ません。川端さんのときもそうでしたが。


Toriさんと渋谷さんは、数回ライブ会場で出会ったことがあるだけだが、互いのブログにコメントを寄せあい、想像力を膨らませていたようだ。日常的なベタベタした付き合いの時間だけが、人の相互理解を深めるものではないということが、この渋谷さんのコメントからもうかがうことができるだろう。

Toriさんのブログ「Tori's Triangle」は、ぼくにもたくさんの想像力仲間を紹介してくれた。

大阪のFunk MusicianであるChi-B & Masta.G(このペアのCDにはライナーまで書かせていただく関係に発展した!)、栃木の泥水飲込さん、福岡のAndyさん、KOOL & THE GANGサイトの主宰者Gパパさん、J・AGEさん、Toriさんの同級生で家族のひとりのように看取っていただいたぶうみんさんとボーカリストのMarieさん、同じく同級生で鹿児島在住の作家・清水哲男さん、熊本で「闘魂ジャズクルセイダーズ大全」を主宰する立花龍さん、静岡のFM局で番組を制作しているこまいぬさん……。いま思い出せずに名前を挙げられない方にはご容赦いただきたい。
すべての方々は、Toriさんの豊かな想像力と優しさに吸い寄せられて、「Tori's Triangle」に集まっていたのだと思う。
いくつもの約束が実現されないままにToriさんは逝ってしまったが、ぼくはこの想像力を持続させることを新しい約束にしたい。
だから、さよならは言わないよ、Toriさん。





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