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zoom RSS トリックちゃん騒動顛末記

<<   作成日時 : 2008/11/20 19:33   >>

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「みんなトリックちゃんが心配!」の記事には沢山のコメントをいただき、こころから御礼申し上げたい。
続編をと思い続けてはいたのだが、最低限の住環境が確保されていれば犬の飼い方に対して他人がとやかくいうべきことではないし(飼い主に相談されれば、喜んでアドヴァイスするが)、あまり考えたくないという気持ちが強くなっていたのだった。食事と水は毎日与え、散歩にも連れて行ってる、何がいけないんだ、という飼い主に対して言うべき言葉はないのである。
ゴールデン・レトリーバーのトリックちゃんがどのような環境で飼育されていて、ぼくらがどうしたかということは過去ログをお読みいただきたい。結果、犬舎が置かれるようになり、さらにコンクリートのガレージ・スペースは一部が剥がされて地面が露出される(写真参照)ように改善された。だが、日陰を作ってあげるとか、涼しく暮らせるようにしてあげるという気遣いがされたわけではない。そのうちに1枚の貼り紙が出た。「きちんと計算して餌を与えているので、食べ物をあげないで」というものであった。ひと月ほど後にもう1枚。「敷地に無断侵入、迷惑な訪問をしないでいただきたい。石神井警察に相談しているので、今後そのようなことがあったら警察に通報する」という内容だ。
犬仲間との雑談はしばしこの文面の解釈になった。
「誰かあのガレージに入った?」→いいえ
「食べ物あげた?」→いいえ
(厳密には、ぼくらがトリックちゃんの家に抗議に行く前に、あまりにかわいそうなので水を飲まそうとした人はいるし、ジャーキーをあげようとした人もいる。だが、トリックちゃんは“イイコ”で見知らぬ人から差し出されたものは食べようとしなかったそうだ)
「あれ以来、犬に関することで訪問した人は?」→いないよ
トリックちゃんの飼育環境に同情する人はぼくらのグループ以外にも多く、近所では「有名な話」となっていたから食べ物をあげようとした人はいただろうし、鎖・リードではないワイヤーで繋がれていたために絡んで身動きがとれないトリックちゃんを助けようとして敷地に入った人がいるかもしれない。「無断侵入」は空き巣狙いとかの犯罪ではなく、犬関連のことを指すものだろう。
「訪問っていうのは、ぼくらが訪ねたことかなあ?」→多分、そう
というのが、みんなの一致するところであった。

するとしばらくして、石神井警察署の生活課から電話がきた。
「下石神井1丁目で飼われている犬について、訪問されたことがありますよね」
と聞かれたので、はいあります、それが何かと尋ねると、
「飼い主さんのほうから、環境は改善したので心配なさらぬようお伝えくださいと言われましたので、連絡させていただきました。あちらさんは有名な作家さんで、犬の飼育経験も長く、よく分かっているそうです」
ということであった。
「こちらは氏名、連絡先の電話番号をお渡ししてあるのに、警察経由で連絡が来るのはどうしてですか?」
「えー、喧嘩になったりするといけないので、連絡してほしいということですので」
と、歯切れが悪い。
「もしかして、訪問したことは余計なお世話で、警察から連絡がいけば今後迷惑な訪問をされなくなるだろう、ってことですか?」
「いやあ、まあ、犬の飼い方は人それぞれ違いますからね」
人の良さそうな声の生活課の警官は、困った感じになった。おそらく石神井警察はトリックちゃんがどう飼育されているのかを見たわけではないだろう。まだ深刻なトラブルが起こってもいないことに実地検分をするほど暇ではないはずだ。そこでぼくは事の顛末を簡単に話し、動物の虐待に近い飼育だったことも説明した。そして、精一杯の皮肉も。
「長年、犬を飼われて、犬のこともよく知っているという人だとしたら、長年、犬を結果的に虐待していたってことだと思いますよ。ご夫婦で散歩に連れて行ってることも知ってます。戦争直後のような飼い方をされていても、それは飼い主の自由です。でも、夏の暑い日にドッグ・フードはあげっぱなしで、残したフードが散らばっている。日向で熱湯のようになっている水はそのまま。有名な作家がこういう飼い方をなさってることが、ぼくらには信じられないんです」

犬をどのように飼うか、どのように一緒に暮らすかということは、飼い主が犬に対して何を求めているかで決まる。トリックちゃんの飼い主は温厚で、ご近所の評判もいい。犬に対する慈しみや、犬が人に与えてくれる有形無形のイマジネーションに対する感謝の気持ちもお持ちのことだろう。だとしたら、どうしてこういう環境に犬をおいておけるのだろうか。犬小屋が入り、コンクリート床が一部剥がされても、暑さ対策や餌・水に対する気配りは見られない。トリックちゃんの家の前を通る飼い主仲間の頭の中は????マークがいっぱいなのだ。

数か月前、ガレージには大きな扉が作られ、道からトリックちゃんのことが見えなくなった。それまでは家の前を通る犬に吠えることがなかったトリックちゃんがいつの間にか吠えるようになっていた。禁止や隔離によって豊かになることは、殆どない。人も犬も、である。


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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
初めてコメントさせていただきます。
前に載った「みんなトリックちゃんが心配」を読んで、その後どうなったかと思ってました。と言いますのは、想像に間違いなければトリックちゃんは私が愛読していた方の飼い犬だからです。飼い主については匿名にされてましたが、ネットでトリック写真館を検索すればすぐに誰かわかります。
まさか、愛犬としてファン・クラブのウェッブで自慢していた人がこんな飼い方をしていたとは、絶句いたしました。確かあの方は高校の同級生のお医者様で、何頭も大きな犬を飼われている方もいらっしゃいます。そういうお友達は何も言わないんでしょうか。
推理小説ファンとしては、残念としか言えません。
マイケル
2008/11/21 00:26
マイケルさん、コメントありがとうございます。
たぶん間違いありません。飼い主の方は、それなりにかわいがってらっしゃるんだと思います。ただ、それがぼくらから見ると、無神経なだけです。最初に抗議の手紙を投函した時に犬の飼い方の本もつけました。それでも、大筋において飼い方に変わりはありませんでした。
ぼくらはなにも、犬が中心の生活をしろと言っているわけではありません。普通の人が見て、目を背けるような飼い方を考え直していただけないかと思ったのですが、余計なお世話だったようですね。
一時の酷い環境がちょっとだけ改善されただけでよしと、自分に言い聞かせているのです。
IKEGAMI
2008/11/21 01:12
‘たかが犬、されど犬’なのにねぇ。
買い物帰りについ、高い扉の隙間から垣間見えるアノコを探しちゃいます。
いつも一人っきりで伏せています。
若干の環境改善は見て取れますが、それは業者の手によるものであり、飼い主さんの日常的な心配りを感ずることはないです。
背の高い扉が目隠しとなり、通りを歩く愛犬家に不快感を与えなくなったくらいかな?
hori
2008/11/21 02:10
マイケルさんご指摘のサイト見ました。
そっか、こういう人だったのですね?話を創作して作品をつくるのだから普通の人以上に“引き出し”の幅も奥行きもあるのかなぁ…と思いきやひょっとして狭量で追いかけているモノしか見えていない人の典型なのかも知れませんねぇ。想像力&創造力を持っている人なら他人に指摘されるまでもなく、トリッキーの気持ちや現状を把握していて然るべき。情けない半人前のスットコドッコイだわ…と言いながら私と同世代、京都で同じ空気を吸ってたなんてヤだヤだ。
torigen
2008/11/21 09:08
1文字違いのhoriさん、toriさん、コメントどうもです。
いきなりトリックちゃんの飼い主を知ってる人のコメントが入って、びっくりしました。写真館については管理人として削除しようかと思ったのですが、誹謗中傷ではないのでそのままにしたら、Toriさん早速の検索でした。
人間に寄り添って生きながら、言葉が喋れない生き物である犬を、狭い世界に閉じ込めている自覚があれば、horiさんの言う「日常的な心配り」をするでしょう。
それができないというのは、想像力が足りないとしか思えないんです。
本音は、もうこのことは忘れたい、なんですけどね。つい、気になっちゃうんだなあ。
IKEGAMI
2008/11/21 11:00
わかったぞ〜!飼い主が。ネットの威力、
ミステリーに興味がないので全く知らない作家でしたが、許せない。やせ細った愛犬の画像を
堂々とHPに掲載する神経、どうなっているんだろう?
masae
2008/11/21 18:09
だしょ、masaeさん。
ホント、どう考えても分からないんです。どうしてこういう人がゴールデンを飼う気になったのかが。それこそ、ミステリー!
大型犬の体重管理は重要で、MAXはちょっと大きくし過ぎたかなと、ちらっと反省もするんですが、トリックちゃんは明らかにやせ細ってます。ですから、前を通りかかった心優しき人(オバサンが多い)は食べさせてもらってないんじゃないかと思ってフードをあげたりするんでしょうね。
大きな犬は最近の体重管理法では、2,3年かけてゆっくり大きくしていきます。特にアメリカでは。でも、そんなアメリカでさえ、パピーの頃にしっかりとした骨格が出来上がるような給餌を大切にしています。
へっぽこ獣医に太らせるなと言われて、それを鵜呑みにした飼い主によって、栄養失調みたいにされちゃった貧弱なレトリーバーって多いんです。まあ、トリックちゃんの場合は環境・食事のさせかたなど、論外ですけどね。
マイケルさんのコメントで、飼い主が誰か、みんなの知るところとなっちゃった。あまり公になるといけないから、今晩あたり伏字にしようと思ってます。ネットの暴力なんて言われかねないし。
IKEGAMI
2008/11/21 19:08
私のコメントのことが出ているのでびっくりしました。
作家A氏の実名を挙げているわけではないので、できるならこのままにしておいて下さいませんか?2007年8月の前編を読み返しましたが、どう考えてもひどいです。私は犬を飼っていませんが、友人はみんな飼っていて、家族同様の生活をしています。
A氏は皆さんの抗議が物理的なことだと思ってるんじゃあないでしょうか。IKEGAMI様がお書きになっていらっしゃるように、犬と暮らす心配りが全くできていない。「喧嘩になるといけないので」と警察に言った言葉で判断すると、反省はゼロです。タヒチの犬・猫殺しホラー作家と似ている部分があるように感じます。
なんだかがっかりして、A氏の本を読みたくなくなりました。
マイケル
2008/11/21 23:26
シャモンちゃんの日記を読んで、朝から涙...。そして、このトリックちゃんの日記を読み激怒!!飼い主さんの犬に対する考え方、飼い方で、犬生が本当に違ってきますよね。犬たちには飼い主を選べないから、運命としか言いようが無いけど....。
それにしてもこのトリックちゃんの扱いには本当に腹が立ちます。前は吠えなかったのに吠えるようになっちゃったトリックちゃんが不憫でなりません。IKEGAMIさんたちがやれる範囲のことはもうやったわけだし、どうか状況が改善されますようにと祈るしかないのですね..。
二コちゃん
2008/11/22 09:27
おお、ニコちゃんしばらく。
「ね」を卒業して、いまはもっぱら病院の事務なのかな?
この飼い主、シャモンに対する飼い主の愛情とは90度ずれてるんだよね。(対極とは言えない。いちおう可愛がってるんだから)
でも、もっと酷いケースもゴロゴロしてるわけで、厭きたからといって1年くらいで保健所に連れて行く若い人も増加してます。親が小学生くらいの子供と一緒に「もういらなくなったんで」と捨てに行くらしいですから。その子供がどういうふうに成長していくか、考えるだに怖いものがあります。
IKEGAMI
2008/11/22 10:14
そこいらに捨てるんじゃなくて、ちゃんと処理施設で処分してもらうんだから何が悪いの?って感覚なのかなぁ?
自分の所有物だから何をしても勝手などと宣う壊れた人間もいますから、どうすれば良いのでしょうね?物でなくて生きてるんだって感覚が欠如してますから…。
torigen
2008/11/22 20:19
ひょんなことからこちらのブログを読ませていただくようになって、考えなくてはいけないテーマについて皆さんが真摯にコメントされていることに感激しております。
世の中、どこかおかしい、と感じつつも具体的に認識できなかったり、どうしたらいいのかが分からなかった部分が見えてきました。最終的にはひとりひとりの向上と良識を待つしかないのでしょうが、それが確認できる場を持てるのは素晴らしいことだと思います。
最近の家族トラブル多発の背景には、平気でペットを捨てるような親が大きな影響を与えているのでしょうね。私が愛読していたA氏はそこまでひどくないだけで、動物の側にたって考えられないということでは、同じ根を持つっていると思えるのです。(飼育経験が長い、と言われたそうですが、トリックちゃんが最初の犬ですよ。ファン倶楽部のBBS過去ログに明らかです)
自分のやり方を正当化するような行動(警察を利用するなど)は知識人のすることではないですから。
昼休み前の会社なのについのぞいちゃいました。
マイケル
2008/11/25 11:27
マイケルさん、初めまして。
torigen@京都です。「世の中どこかおかしい…」と感じる諸々のなかのひとつの典型ですね、これは。一見良識ある市民に見えるのだが、それは繕っているだけ…が、今回のようにこの人物にしてみれば「なんでこんな事で大騒ぎされなくちゃならないんだっ!」みたいな被害者意識しかないんでしょう。こういう薄っぺらいのに自覚が無くて情がない人の書き物など私はスルー、そこに哲学も良識も持ち合わせておられないでしょうからネ、わはは。

http://power1-scratch.seesaa.net/
torigen
2008/11/26 06:49
マイケルさん、Toriさん、コメントどうもです。
「世の中、どこかおかしい」のは確かです。多くの人がそう思ってる。でも、おかしいことが放置されていることはもっとおかしいと思いませんか?
欧米に比べると日本人は「変化」に積極的ではありません。それは日本人の良さでもあるのですが、反面、価値観が変わるような激動の時代に対応できないというウィーク・ポイントでもあります。大衆の思惟が近代社会のなかで鍛えられていないので、時の権力や多数の勢いに流されやすい、という短所もあります。
だから、個別の事象が普遍化されて倫理・論理となりにくいのです。「犬を可愛がる」→「命の大切さを尊ぶ」→「人間愛に拡大する」といった発展が切断されていると言えるでしょう。
この大切な問題はコメント欄では書ききれないので、あらためてPOSTを立てようと思ってます。それまで、お待ちを!
IKEGAMI
2008/11/27 11:12

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