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zoom RSS イージーな“禁止”

<<   作成日時 : 2008/10/24 02:09   >>

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パリやニューヨークの街角でも、日本と同じように犬を連れた人をよく見かける。東京に比べて一戸建ての家に住む人が少ないパリやニューヨークだが、圧倒的に大型犬を連れた人が多いのが不思議である。NY・マンハッタンのアパートで2頭のアイリッシュ・セッターと暮らしているアメリカ人の友人に聞いたら「アメリカ人はなんでも大きいのが好きなんだよ。車、ステーキ、ベッドのサイズ・・・犬もね。ヨーロッパでは中・小型の犬と暮らす人がアメリカよりは多いみたい」という答えが返ってきた。
20年以上前の話だが、この男と犬の散歩がてら雑貨屋に買い物に行ったことがある。彼が1頭、ぼくがもう1頭のリードをひいて5th Aveを上がり、52丁目を東に。目的の雑貨屋に着くと、彼は犬を連れて店に入って行くではないか。
「この店、犬を連れて入ってもいいの?」
「ン、知らない。ダメって言われたら外に繋げばいいよ」
フランスでは犬の入れない場所は美術館、教会、デパートの食品売り場くらいのもので、人間の活動するところはすべてOK。NYもそうなのだろうか。
「いや、フランスに比べたらダメっていうところは多いよ。個人が決められるからね。カントリークラブが女性の入会を認めないことだって、合憲判決が出たしさ。公的な場所でも小さな公園とかダメじゃないかな。でも、人に迷惑をかけない限り、文句言う人は少ない。
アメリカ人だって犬が嫌いな人もいるけど、嫌いっていう感情は禁止の要件にならないでしょ。それが認められたら、太った人立ち入り禁止、なんてことだってまかり通るわけでアメリカ人はどこにも行けなくなるもん、ハハハ」
この友人は何10回も日本に来ているので、我が国の犬事情にも詳しい。東京23区のほとんどの公園が犬の立ち入り禁止になっていることも知っている。
「アメリカだって夜に散歩させて、犬の糞を拾わない人もいるよ。だけどそれは犬が悪いんじゃあなくて、オーナー、人間が悪いんでしょ。だったら犬の立ち入りを禁止するんじゃあなく、そういう飼い主の立ち入りを禁止すべきなんだよ。あれもダメ、これもダメって言ってたら、対象を回避するだけでなにも改善されない。で、公権力や法律によっていったん禁止されたことはなかなか解けないんだ。特に日本ではそうでしょ。決められたことだから、っていう人が多いんだ。誰がどんな理由で、どのように決めたかを知らなくても従っちゃう。ぼくがそれはおかしいと思って、どうしてって聞くと“決まりだから”っていつも言われるんだよ」
言われてみれば、日本の犬の社会環境はおかしなことだらけである。例えばマンションの飼育規約。新しい分譲マンションのほとんどは飼育可になったが、大型犬の飼育を認めているところは1割にも満たない。こんな規約があるから、マンション住まいの人は盲導犬のパピー・ウオーカーになれないし、保健所やシェルターから捨てられた子犬を引き取ることもできない。ミックス(いわゆる雑種)の子犬はどれほどの大きさに成長するかわからないからである。要するにペットはペットショップで商品として売られているものだけにせよ、ということなのだ。こんな変な規約を作った人、それを積極的に認める人が「日本には介助犬がすくない」などと言うのだから噴飯ものである。

「禁止」の規範は、人々のなかでマナー、良識が機能しなくなったときにやむを得ず作られるものだろう。ところが公的なポジションに就き、社会集団をリードする立場に身を置いたとたんに、不必要なコントロールをしたがる人が多い。権力の誇示に「禁止」を用いたり、責任逃れの先回りのためにリスク潰しの手段として「禁止」を増やすのだ。(今となっては冗談としか思えない「エレキギターの演奏禁止」なんていうのが、教育委員会から出されたことがある!)

だが「犬の連れ込み禁止」の表示を前にして、反省しなくてはならない飼い主が多いことも確かである。雑貨屋に平然と犬を連れ込んだ友人が言った。
「どうして日本の犬は吠えるんだろう。それと、なんで飼い主の横について歩けないんだろう。不思議なんだよなあ」
ぼくはその理由を知っているが、悔しいからお茶を濁してしまったのだった。



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コメント(7件)

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おひさです、IKEGAMIさん。
う〜ん、ワシは典型的なニホン人なのかもなぁ…。(反省)
半斤八両
2008/10/24 23:01
半欣さん。いつも見ていただいてありがとうございます。
「決まりに従う」っていうのは、日本人の美徳でもあるわけで、外国人(特に欧米人)のようにいちいち「決まり」を検証するのはぼくらにとって非常に疲れることでもあります。でも人種・民族の寄り集まりでできている社会では、その必要があるんでしょうね。
多くの学校では道徳の時間に「譲る」ことを美徳として教えています。ぼくは自分の子供には理由なく譲ることのが良いとは限らない、と言ってきました。譲るか、自分の主張を通すか、自らの意思で決めないと本当の相互理解はできないと思っているからです。
お上に従っているうちに侵略戦争に加担したことを、もっと真摯に考えなくてはならないと思います。
IKEGAMI
2008/10/25 01:29
常に飼い主の横について歩けたら、スムーズに社会に受け入れられるように思います。
代官山で入店可の服飾の店舗を見つけた時は感激しました。
入店可が禁止に変わった近くのホームセンターには失望しました。
以上の例は、あくまでも犬が4本の足で歩いての入店です。
立ち入り禁止の公園に関しては、謎としか言えません。
むやみに吠えず親しげで、落ち着いて歩くパートナーに仕上げるべく日々努めていますが
”その理由”が分かれば、躾けの方向性が見えてくるかも知れません・・。

hori
2008/10/25 02:14
ここではおひさし@入院中です。
他国のことはともかく、この国は事なかれ主義ってのが底辺にあって、その上の御上が決めたことだから…という諦めのようなものもありますね?学校でも企業でも何らかの組織でも。で、ほんとの意味の自由を真剣に我が儘と混同している人もいたりして…わはは。やはり日本人は比較的幼児性が顕著な国民なんでしょか?ね。
torigen
2008/10/25 16:22
>horiさん

理由は簡単。日本では犬は飼うもので、暮らす存在ではないからです。一緒に暮らせば、そうそう楽しいことばかりとは限らない。親子・夫婦と同じです。そうした山・谷を共有すれば互いに(あくまで互いに、です)相手をケアするようになるとぼくは信じているのです。
よく見られる「ただただ甘やかし」は豊かな暮らし方とは対極。でもhoriさんは怖いオバサンだから大丈夫。厳しくする必要のある時は娘を怒ったように、愛情たっぷりに起こればいいんですよ。わはは(とToriさん風に)。
IKEGAMI
2008/10/25 21:58
>Toriさん

病院からブログは更新するは、コメント入れるはで、抗癌剤点滴中の人とは思えません。そのエネルギーがあれば怖いものなし。突然変異で出来たものには、やり返しの変異が効果的です。
でも、副作用が出たらちゃんと寝ててくださいね。たのんますよ!
IKEGAMI
2008/10/25 22:04
抗がん剤、ワンクール目投与が終わりましたが未だなにも副作用らしきものは出ていません、わはは。ほんとに効いてるんだろか?(汗)。
今日はその抗がん剤を体から押し出す点滴を日中だけやるそうであります(爆)。
しかし、DVDでThe Crusaders / Montreux 2003観てたら病室で鑑賞していることすら忘れて熱くなってしまい、結果血圧が上がってしまいましたとさ、わはは。
torigen
2008/10/26 05:00

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